受給事例:水痘性角膜症による視力障害で障害基礎年金1級を受給

水痘性角膜症による視力障害で障害基礎年金1級を受給 初診日の証明が困難な中、第三者証明と写真を活用して認定へ


相談者:50代、男性
職業:無職
傷病名:水痘性角膜症
決定した年金種類と等級:障害基礎年金1級
支給額:年額972,250円


『相談時の状況』

ご本人がかつてご自身で障害年金の請求をされたものの、初診日が認められず不支給となってしまったというケースでした。
病歴をさかのぼる中で、子どもの頃にかかっていたアトピー性皮膚炎が関連疾患と判断され、その初診日が証明できなかったためです。
日本年金機構の決定を不服とされ、審査請求、再審査請求と3年ほどかけて対応されたものの、いずれも却下。最終的には、裁判をするか、専門家に依頼するかという選択の中で、弊所へご相談いただきました。


『サポート内容』

障害年金の請求のためには、2つの条件が必要となります。初診日要件と保険料納付要件です。

初診日要件は、病気やケガで医療機関を受診した最初の日付を明確にする必要があります。これは病名が診断された日ではなく、その症状で通院した最初の日です。

また、保険料納付要件は一定の年金保険料を納めている、または免除されている必要があるという要件です。

① 初診日の前日において、初診日のある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がないこと

  • たとえば、2025年6月5日が初診日なら、2025年4月分までの1年間(2024年5月~2025年4月)が対象期間です。
  • この期間に保険料の未納が1か月でもあると、この要件は満たしません。

② 初診日の前日において、初診日のある月の前々月までの加入期間のうち、3分の2以上の期間で保険料を納付または免除されていること(3分の2要件)

たとえば、20歳から初診日までに60か月加入していたなら、その3分の2である40か月以上が納付済みまたは免除されていればOKです。

学生納付特例や猶予期間も「未納」ではなく「免除」に該当するため、条件を満たす場合があります。

また、例外として初診日が20歳未満である場合は納付歴を問われないというものもあります。

このケースでは、前回の請求時に初診日は子どもの頃のアトピー性皮膚炎であると判断されたため保険料の納付要件は問われないことがわかっておりました。しかし、初診日要件として40年以上も前の未成年期の初診日を証明する必要がありました。
当時通院していた皮膚科・眼科など複数の医療機関に照会しましたが、当然カルテは残っておらず、受診状況等証明書の取得は不可能でした。

まずはご本人と一緒に子どもの頃からの通院歴を整理し、時系列で皮膚科・眼科の履歴を丁寧に書き起こしました。
それでも書面による証明が難しかったため、最終手段として「第三者証明」に踏み切りました。

当時を知る方が少なく苦戦しましたが、幸いにも深いつながりのある従兄妹お二人からの証言を得ることができました。
さらに、アトピー性皮膚炎が幼少期からあったことを裏付ける写真も添付資料として提出。これらの努力により、信頼性の高い初診日の証明を行うことができました。


『受給結果』

審査の結果、障害基礎年金1級として認定され、年額972,250円の年金が支給されることとなりました。
長年にわたりご本人が抱えてきた不安がようやく報われた瞬間でした。


『まとめ』

初診日の証明は、障害年金請求において最も難航するポイントの一つです。
特に数十年前の初診日となると、証明手段が限られる中でどのように事実を積み上げていくかが鍵になります。

今回のケースでは、第三者証明と当時の写真という“人の記憶”と“物的証拠”を最大限に活用し、粘り強く対応した結果、無事に年金を受給することができました。
初診日の証明にお困りの方も、あきらめずにぜひ一度ご相談ください。

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この記事を書いた人

日本障害年金申請サポートセンター
(社会保険労務士法人 日本労働教育総合研究所)

神奈川県の社労士法人で、年間400件以上の障害年金請求に携わっている。
身体障害・精神障害共にサポート可能。

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