重度の知的障害とてんかん発作により社会生活が困難。障害基礎年金1級を受給
相談者:30代、男性(ご本人の父親からの相談)
職業:無職
傷病名:てんかん、知的障害
決定した年金種類と等級:障害基礎年金1級
支給額:年額約102万円
『相談時の状況』
当事務所へは、ご本人のお父様からご相談をいただきました。
息子さんは生まれつきの重度の知的障害とてんかんがあり、幼い頃から特別支援学級に通っていました。しかし、お父様は仕事の都合で転勤が多く、環境を変えるのは息子さんに良くないという判断から、単身赴任を選び、長年母子家庭のような形で生活をされていたそうです。
そんな中、日々息子さんの面倒を見てこられたお母様が昨年ご病気で他界されました。突然の生活の変化に息子さんは大きく混乱し、重度の知的障害のため、母の死を理解することができず、今もなお「母の帰宅を待ち続けている」というお話には胸が痛みました。
お父様も急遽、息子さんとの生活を始めることになり、「いよいよ“親亡き後”のことを真剣に考えなければならない」と思い立たれたそうです。成年後見制度については弁護士に依頼をされ、同時に障害年金については「専門の社会保険労務士に相談した方がよい」とアドバイスを受け、当事務所にご連絡いただきました。
『サポート内容』
お父様は長年、息子さんとは別居されており、また長く面倒を見ていたお母様も他界されたため、過去の医療情報や療育歴をたどるのに非常に苦労されていました。
当事務所では、わかっている情報を丁寧に整理し、幼少期から成人までの通院歴を一つ一つ確認しました。しかし、昔の医療機関ではすでにカルテが廃棄されており、初診日を証明することができませんでした。
そんな中、「療育手帳」を発見できたことが大きな突破口となりました。療育手帳に記載された情報をもとに、未成年時の受診事実を証明し、無事に初診日を確定させることができました。
また、しばらく医療機関にはかかっていなかったため、転居先で新たに精神科・神経科を受診し、最新の状態を反映した診断書を取得しました。診断書作成にあたっては、息子さんの日常生活の困難さ(食事・入浴・金銭管理・外出時の介助など)をお父様から詳細にお伺いし、「病歴・就労状況等申立書」にも丁寧に記載しました。
過去の遡及請求は、初診日の証明が難しく叶いませんでしたが、今後の生活支援の一助となるよう、現在の状態で申請を行いました。
『受給結果』
審査の結果、障害基礎年金1級が認定され、年額約102万円の支給が決定しました。
お父様からは、「ようやく将来への不安が少し和らいだ」とのお言葉をいただき、支援できたことを心から嬉しく思っています。
知的障害やてんかんを抱える方の障害年金は、本人が自ら申請できない場合がほとんどです。また、長い年月が経っていると、初診日の証明や通院歴の把握が非常に難しくなることもあります。
「今さら無理かもしれない」と諦めず、ぜひ専門家にご相談ください。ご家族の思いに寄り添い、最善の方法をご提案させていただきます。
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