無職。医師の就労不可の診断なし。でも自閉症スペクトラムの障害年金が認定された事例

【自閉症スペクトラムで障害年金】の受給事例

「無職だから」「医師から就労不可と診断されていないから」と、障害年金の申請を諦めていませんか。今回は、自閉症スペクトラムで日常生活に大きな支障を抱えながらも申請を迷っていた20代の方が、障害基礎年金2級を受給できた事例をご紹介します。


目次

ご相談者様の状況

  • 年代・性別:20代・女性
  • 傷病名:自閉症スペクトラム
  • 初診日:2016年7月
  • 就労状況:無職(医師からの就労不可診断なし)
  • 年金種類:障害基礎年金(20歳前障害)
  • 認定等級:2級

ご相談までの経緯

ご相談者様は20代の女性で、自閉症スペクトラムと診断されている方でした。日常生活においてさまざまな困難を抱えており、ご家族の支援なしでは生活を送ることが難しい状態が続いていました。

特に深刻だったのは、自分でお金の管理ができず親御さんに全面的に任せている状態であること、時間通りに自力で起きることができず毎朝親御さんに起こしてもらわないと起床できないこと、入浴も促してもらえないとできないことなど、基本的な生活動作においても支援が必要な状況でした。

また、倦怠感や脱力感が強く、空腹であるにもかかわらず食事をとれない日もあり、一日2食しか食べられない日も少なくありませんでした。親御さんと同伴でないと外出することが難しく、仮に外出できたとしても極度に疲れやすいため、帰宅時にはぐったりしてしまうとのことでした。

精神的な症状も深刻で、突然涙が止まらなくなることがよくあり、就職活動を進めることができない状態でした。不眠気味で頻繁に動悸やめまいを起こし、希死念慮に囚われることもあり、自傷行為の衝動に駆られてしまうこともあるとのことでした。このような状況の中、障害年金の申請を検討されましたが、「無職だから」「医師から就労不可と明確に言われていないから」という理由で、受給できるのか不安を抱えながらご相談にいらっしゃいました。


申請で問題になったポイント

就労していない状態と医師の診断

ご相談者様は無職の状態であり、かつ医師から明確な「就労不可」という診断を受けていませんでした。このような状況では、「働けるのではないか」と判断されて不支給になるのではないかという不安を抱えておられました。しかし、障害年金の認定において重要なのは「就労の可否」だけではなく、「日常生活能力がどの程度制限されているか」という点です。ご相談者様の場合、就労の有無にかかわらず、日常生活における支障の程度を正確に伝えることが最重要課題でした。

20歳前障害としての申請

初診日が20歳到達前であったため、20歳前障害として申請する必要がありました。20歳前障害の場合、保険料納付要件は問われませんが、初診日の証明が必須となります。幸いにも初診日のカルテが残っており、初診日を客観的に証明できる状況ではありましたが、その確認と適切な書類準備が求められました。

日常生活能力の低下を正確に伝える工夫

自閉症スペクトラムの特性として、対人関係やコミュニケーションの困難さ、感覚過敏、こだわりの強さなどがありますが、ご相談者様の場合は日常生活全般にわたって親御さんの支援が必要な状態でした。金銭管理、起床、入浴、食事、外出など、生活のあらゆる場面で支障が生じていることを、診断書や病歴・就労状況等申立書において具体的かつ正確に記載する必要がありました。


当事務所で行ったサポート

まず、ご相談者様とご家族から丁寧にヒアリングを行い、日常生活における具体的な支障の内容を詳細に把握しました。金銭管理、起床、入浴、食事といった日常生活動作の状況、希死念慮や自傷行為の衝動、倦怠感や脱力感の頻度と程度、外出時の状況など、日常生活のあらゆる場面での困難を整理しました。

その上で、医療機関に診断書作成を依頼する際には、これらの日常生活における支障を正確に反映していただけるよう、詳細な資料を添えて説明を行いました。また、病歴・就労状況等申立書についても、ご相談者様の生活状況が審査において正しく伝わるよう、時系列に沿って具体的なエピソードを盛り込みながら丁寧に作成いたしました。20歳前障害としての申請であったため、初診日を証明する資料の確認と準備も慎重に進めました。


結果

申請の結果、障害基礎年金2級として認定されました。無職であることや医師からの明確な就労不可診断がないことは、認定において不利な要素とはなりませんでした。日常生活における具体的な支障の内容を正確に伝えることができたことで、ご相談者様の実際の生活状況が審査において適切に評価され、2級認定という結果につながりました。ご本人とご家族からは、「これで少しでも生活の安定につながる」と安堵のお言葉をいただきました。


同じ傷病で障害年金を検討している方へ

自閉症スペクトラムは、対人関係やコミュニケーション、感覚過敏、こだわりの強さなど、目に見えにくい困難を抱える障害です。日常生活において家族の支援を必要としていても、「働いていないから」「医師から就労不可と言われていないから」と、障害年金の申請を諦めてしまう方が少なくありません。

しかし、障害年金の認定において最も重要なのは、「日常生活能力がどの程度制限されているか」という点です。就労の有無や医師の診断文言だけで判断されるものではありません。金銭管理、起床、入浴、食事、外出など、生活のあらゆる場面で支障があり、家族の支援が必要な状態であれば、障害年金を受給できる可能性は十分にあります。

ご自身の状況を正確に伝えることで、適切な等級認定を受けられる可能性があります。一人で悩まず、まずは専門家にご相談ください。


障害年金の申請で大切なこと

初診日の確認と証明

障害年金を申請する上で、初診日の確認は最も重要なポイントの一つです。初診日によって加入している年金制度や保険料納付要件が決まるため、カルテや診察券、お薬手帳など、初診日を証明できる資料を早めに確認しておくことが大切です。20歳前障害の場合は保険料納付要件は問われませんが、初診日の証明は必須となります。

診断書の記載内容の重要性

診断書は障害年金の審査において最も重視される書類です。特に日常生活能力の程度や援助の必要性については、実際の生活状況が正確に反映されているかを確認することが重要です。医師は診察室での様子しか把握できないことも多いため、日常生活での困難を具体的に伝え、診断書に反映していただくことが必要です。

専門家への相談

障害年金の申請は、要件の確認から書類準備まで複雑な手続きが伴います。特に自閉症スペクトラムのように、日常生活の困難が外から見えにくい障害の場合、その実態を審査において正確に伝えることが重要です。社会保険労務士などの専門家に相談することで、適切な準備と申請が可能になります。


よくある質問(Q&A)

Q. 無職で働いていないと障害年金は受給できませんか?
A. いいえ、そのようなことはありません。障害年金の認定では、就労の有無ではなく日常生活能力の制限の程度が重視されます。無職であっても、日常生活に支障があれば受給できる可能性は十分にあります。

Q. 医師から「就労不可」と診断されていないと受給できませんか?
A. 医師からの明確な就労不可診断がなくても受給できる場合があります。重要なのは、診断書において日常生活能力の制限や援助の必要性が具体的に記載されているかどうかです。実際の生活状況を医師に正確に伝えることが大切です。

Q. 自閉症スペクトラムで障害年金を受給するためには、どの程度の症状が必要ですか?
A. 一概には言えませんが、金銭管理、身辺整理、対人関係、外出などの日常生活において、家族などの援助や支援が必要な状態であれば、受給できる可能性があります。ご自身の状況を具体的に整理した上で、専門家にご相談されることをお勧めします。

Q. 20歳前障害とは何ですか?
A. 初診日が20歳到達前にある場合の障害年金を「20歳前障害による障害基礎年金」といいます。この場合、保険料納付要件は問われませんが、所得制限があります。また、障害基礎年金のみが対象となり、障害厚生年金は支給されません。

Q. 家族の支援を受けていることを伝えると、かえって不利になりませんか?
A. いいえ、むしろ家族の支援が必要であることは、日常生活能力の制限を示す重要な情報です。どのような場面でどのような支援を受けているのかを具体的に伝えることで、実際の生活状況が審査において正確に評価されます。


無料相談のご案内

障害年金の申請は、要件の確認から書類準備まで複雑な手続きが伴います。当事務所では、自閉症スペクトラムをはじめとするさまざまな傷病での障害年金申請をサポートしております。「自分は受給できるのか」「どこから手をつければいいかわからない」という方も、まずはお気軽に無料相談をご利用ください。


ご注意事項

本事例は個別の状況に基づくものであり、同様の結果を保証するものではありません。障害年金の支給要件・等級・受給額は、お一人おひとりの状況によって異なります。本記事は情報提供を目的としており、法的・医学的アドバイスを提供するものではありません。障害年金の申請をご検討の際は、必ず専門家にご相談ください。

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この記事を書いた人

日本障害年金申請サポートセンター
(社会保険労務士法人 日本労働教育総合研究所)

神奈川県の社労士法人で、年間400件以上の障害年金請求に携わっている。
身体障害・精神障害共にサポート可能。

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