障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類があります。初診日にどの年金制度に加入していたかによって、受給できる年金が変わってきます。それぞれの特徴と違いを詳しく解説します。
加入要件の違い
障害基礎年金は、初診日において以下のいずれかに該当する方が対象です。国民年金に加入している方(自営業者、学生、無職の方など)、20歳前または日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満の方で年金制度に加入していない期間の方、厚生年金加入者の配偶者(第3号被保険者)が該当します。
障害厚生年金は、初診日において厚生年金保険に加入している方が対象となります。会社員や公務員など、事業所に勤務している方が該当します。なお、障害厚生年金に該当する方は、障害基礎年金も同時に受給できる可能性があります。
障害等級の違い
障害基礎年金は1級と2級のみが設定されています。日常生活に著しい制限を受ける程度の障害が認定基準となります。
障害厚生年金は1級、2級に加えて3級があります。さらに、3級に該当しない程度の障害でも、一時金として「障害手当金」が支給される場合があります。つまり、障害厚生年金の方が、より軽度の障害でも受給できる可能性があるということです。
年金額の違い
障害基礎年金の年金額(2024年度)
- 1級:1,020,000円(月額85,000円)+子の加算
- 2級:816,000円(月額68,000円)+子の加算
子の加算額は、第1子・第2子は各234,800円、第3子以降は各78,300円です。
障害厚生年金の年金額 障害厚生年金は、厚生年金の加入期間や給与額(標準報酬月額)によって年金額が変わります。計算式は「平均標準報酬額×給付乗率×加入月数×障害等級に応じた率」となります。
1級は報酬比例の年金額×1.25、2級は報酬比例の年金額、3級も報酬比例の年金額(最低保証額612,000円)となっています。さらに、1級・2級の場合は配偶者加給年金(234,800円)が加算される場合があります。
保険料納付要件の違い
基本的な納付要件は同じですが、20歳前に初診日がある障害基礎年金の場合は、保険料納付要件は問われません。ただし、この場合は所得制限があり、一定以上の所得がある場合は年金額が減額または支給停止となります。
申請窓口の違い
障害基礎年金は市区町村役場の国民年金担当窓口または年金事務所で申請します。20歳前障害の場合は、市区町村役場での手続きとなることが多いです。
障害厚生年金は年金事務所で申請します。初診日に加入していた事業所を管轄する年金事務所での手続きが基本となります。
まとめ
障害基礎年金と障害厚生年金の最も大きな違いは、障害等級の範囲と年金額の計算方法です。障害厚生年金の方が3級まであり、年金額も加入期間や収入に応じて変動するため、一般的に障害基礎年金より手厚い保障となっています。
どちらの年金に該当するかは初診日の加入制度で決まるため、初診日の証明が非常に重要になります。申請を検討されている方は、まず初診日を特定し、その時点での年金加入状況を確認することから始めましょう。
コメント