「障害年金を申請したのに、もらえなかった」
「病気や障害があるのに、なぜ不支給になったの?」
「一度不支給になったら、もう障害年金は受け取れない?」
障害年金を申請したものの、不支給の決定を受け、このような疑問や不安を抱えている方もいるでしょう。
障害年金は、病気やけががあるというだけで受給できるものではありません。
初診日、保険料の納付状況、障害の状態など、定められた要件を満たす必要があります。
また、申請時に提出した診断書などの内容から、障害年金の基準に該当しないと判断されれば、不支給となることがあります。日本年金機構も、障害年金には初診日や保険料納付要件、障害状態などの受給要件があることを案内しています。
この記事では、障害年金がもらえない主な理由、不支給になりやすいケース、不支給通知が届いた後の対処法について、わかりやすく解説します。
障害年金がもらえない主な理由
障害年金が不支給になる理由は、一つではありません。
代表的なものとして、次のようなケースがあります。
- 初診日を確認できない
- 保険料納付要件を満たしていない
- 障害の状態が認定基準に該当しない
- 診断書から障害状態が十分に確認できない
- 病歴・就労状況等申立書の内容が不十分
- 請求方法や請求時期に問題がある
- 必要な書類がそろっていない
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.初診日を確認できない
障害年金では、初診日が非常に重要です。
初診日とは、障害の原因となった病気やけがについて、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日のことです。
初診日によって、
- 障害基礎年金か障害厚生年金か
- 保険料納付要件を満たしているか
- 障害認定日はいつになるか
などが変わってくるためです。
初診日が確認できないケース
例えば、
- 初診の病院が廃院している
- カルテが残っていない
- 何十年も前の受診で記録がない
- 複数の医療機関を受診していて初診日が曖昧
- 最初に受診した病院と現在の病院が異なる
といったケースがあります。
ただし、初診の医療機関で証明書を取得できない場合でも、状況に応じて他の資料によって初診日を確認できる場合があります。
診察券や領収書、お薬手帳、紹介状など、過去の受診を確認できる資料が残っていないか確認してみましょう。
2.保険料納付要件を満たしていない
障害年金では、障害の状態だけでなく、保険料納付要件も確認されます。
日本年金機構によると、原則として、初診日の前日において、初診日のある月の前々月までの被保険者期間のうち、保険料納付済期間と免除期間を合わせた期間が3分の2以上必要です。
また、一定の条件を満たす場合には、初診日の前日において、初診日のある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がないことによる特例もあります。
そのため、
「障害が重いから障害年金を受給できる」
とは限りません。
障害状態とは別に、初診日時点で保険料納付要件を満たしているかを確認する必要があります。
3.障害の状態が認定基準に該当しない
障害年金がもらえない理由として、重要なのが障害の状態が認定基準に該当しないと判断されたケースです。
障害年金は、病名だけで受給の可否が決まる制度ではありません。
例えば、
- うつ病
- 双極性障害
- 統合失調症
- 発達障害
- 心疾患
- 腎疾患
- 視覚障害
- 聴覚障害
- 肢体の障害
など、さまざまな病気や障害が対象となり得ます。
しかし、同じ病名であっても、障害の程度や日常生活への影響には個人差があります。
そのため、病名だけではなく、障害によってどの程度生活や仕事に制限が生じているのかが重要になります。
障害基礎年金では1級・2級、障害厚生年金では1級・2級・3級があり、障害の程度に応じて判断されます。
4.診断書の内容から障害状態が十分に確認できない
障害年金の申請では、医師が作成する診断書が重要な資料となります。
しかし、実際の障害状態と診断書の内容に差がある場合、審査でその状態が十分に伝わらない可能性があります。
例えば、
- 日常生活で受けている援助が十分に記載されていない
- 症状による仕事への影響が伝わっていない
- 必要な検査結果が記載されていない
- 実際の症状より軽い印象になっている
などです。
もちろん、診断書に記載された内容だけで不支給の理由を判断できるわけではありません。
しかし、申請前には、診断書の内容が現在の状態を適切に反映しているか確認することが大切です。
5.病歴・就労状況等申立書の内容が不十分
障害年金の申請では、診断書だけでなく、病歴・就労状況等申立書も重要な資料です。
病歴・就労状況等申立書には、発病から現在までの病歴や受診状況、日常生活、就労状況などを記載します。
例えば、
「症状が悪く、生活が大変だった」
だけでは、具体的な状況がわかりにくいでしょう。
それよりも、
「体調が悪化すると食事を作ることができず、家族に準備してもらっている」
「体調不良による欠勤が月に数回ある」
など、実際の生活状況や仕事への影響を具体的に整理したほうが、状況を伝えやすくなります。
ただし、重要なのは障害を重く見せることではなく、実際の状態を正確に記載することです。
6.働いていることを理由に「障害年金はもらえない」と思っている
「仕事をしているから障害年金は受給できない」と考えている方もいます。
しかし、働いているという事実だけで障害年金の対象外になるわけではありません。
障害年金では、就労している場合でも、
- どのような仕事をしているか
- 勤務時間はどの程度か
- 職場からどのような配慮を受けているか
- 欠勤や遅刻はあるか
- 業務内容に制限があるか
- 周囲からどの程度サポートを受けているか
など、就労の実態を確認することが重要です。
そのため、
「働いている=障害年金をもらえない」
というわけではありません。
7.請求時期や請求方法に問題がある
障害年金には、状況に応じていくつかの請求方法があります。
代表的なのが、
- 障害認定日による請求
- 事後重症による請求
です。
障害認定日に障害等級に該当していた場合には、障害認定日による請求を検討できます。
一方、障害認定日の時点では該当しなかったものの、その後症状が悪化して障害等級に該当した場合には、事後重症による請求ができる場合があります。
事後重症による請求は、原則として65歳の誕生日の前々日までに請求書を提出する必要があります。
そのため、年齢や障害認定日の時期によっては、請求方法や請求できる時期について注意が必要です。
「不支給」と「却下」は同じではない?
障害年金の結果には、「不支給」だけでなく「却下」となる場合もあります。
一般的には、
不支給
→ 受給要件を審査した結果、障害状態などが支給要件に該当しないと判断された場合
却下
→ 初診日や保険料納付要件など、請求の前提となる要件を満たしていない場合など
といった違いがあります。
ただし、実際の判断は個別の事情によって異なります。
不支給・却下の通知が届いた場合は、まず通知書を確認して、どのような理由で決定されたのかを把握することが大切です。
障害年金が不支給になったらどうする?
不支給になったからといって、すべてのケースで今後も障害年金を受給できないとは限りません。
まずは、なぜ不支給になったのかを確認することが重要です。
① 不支給の理由を確認する
最初に確認したいのは、
- 初診日が原因なのか
- 保険料納付要件が原因なのか
- 障害状態が原因なのか
- 診断書などの内容が原因なのか
という点です。
原因によって、その後の対応が変わります。
② 審査請求を検討する
年金の決定に不服がある場合には、審査請求という制度があります。
日本年金機構によると、年金の決定に不服がある場合、決定があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内であれば、社会保険審査官に審査請求をすることができます。
審査請求には期限があるため、
「とりあえず様子を見よう」
と長期間そのままにするのではなく、早めに通知書の内容を確認することが大切です。
③ 状況が変わった場合は再請求を検討する
不支給後に症状が悪化した場合などには、改めて障害年金を請求できるケースがあります。
例えば、
- 症状が以前より悪化した
- 日常生活の制限が大きくなった
- 就労が難しくなった
- 新たな診断や検査結果が出た
などです。
ただし、不支給になった理由によって適切な対応は異なります。
「再請求すれば必ず受給できる」というものではないため、まずは不支給の理由を確認することが重要です。
不支給にならないために申請前に確認したいポイント
障害年金を申請する前には、次の点を確認しておきましょう。
初診日を確認する
いつ、どの医療機関を初めて受診したのかを確認します。
保険料納付要件を確認する
初診日の前日時点で、保険料納付要件を満たしているか確認します。
障害認定日を確認する
原則として初診日から1年6か月を経過した日が障害認定日となりますが、傷病によっては例外があります。
診断書の内容を確認する
現在の障害状態が適切に反映されているか確認します。
病歴・就労状況等申立書を整理する
発病から現在までの経過を時系列で整理し、日常生活や就労状況も具体的に記載します。
提出書類全体を確認する
診断書と病歴・就労状況等申立書などの内容に大きな食い違いがないか確認します。
一度不支給になったら、もう申請できない?
これはよくある誤解です。
一度不支給になったからといって、すべての場合において今後の請求ができなくなるわけではありません。
例えば、不支給の理由が障害状態に関するもので、その後症状が悪化した場合などには、改めて請求を検討できる場合があります。
また、不支給の決定そのものに不服がある場合には、審査請求を検討できます。
ただし、審査請求には3か月という期限があります。
そのため、不支給通知が届いたら、
「なぜ不支給になったのか」
を確認したうえで、今後の対応を考えることが大切です。
よくある質問
Q.病気があるのに障害年金がもらえないのはなぜですか?
障害年金は病名だけで受給の可否が決まるものではありません。
初診日や保険料納付要件を満たしていることに加え、障害の状態が所定の基準に該当する必要があります。
Q.働いていたら障害年金はもらえませんか?
働いていることだけを理由に、障害年金を受給できなくなるわけではありません。
仕事内容や勤務状況、職場で受けている配慮などを含めて、障害による制限の実態を確認することが重要です。
Q.障害年金が不支給になったら、すぐ再申請できますか?
不支給になった理由によって対応が異なります。
不支給の決定に不服がある場合は審査請求を検討できるほか、その後の症状の変化などによって改めて請求を検討できる場合もあります。
Q.審査請求には期限がありますか?
あります。
年金の決定に対する審査請求は、原則として決定があったことを知った日の翌日から3か月以内です。
期限を過ぎると審査請求ができなくなる可能性があるため、注意が必要です。
まとめ|障害年金がもらえないときは「理由」を確認することが大切
障害年金が不支給になる理由はさまざまです。
主な理由として、
- 初診日を確認できない
- 保険料納付要件を満たしていない
- 障害の状態が認定基準に該当しない
- 診断書から障害状態が十分に確認できない
- 病歴・就労状況等申立書の内容が不十分
- 請求方法や請求時期に問題がある
などが考えられます。
障害年金は、病名だけで受給の可否が決まる制度ではありません。
初診日・保険料納付要件・障害状態など、複数の要件を確認することが重要です。
また、不支給になった場合でも、すべてのケースで今後の請求ができなくなるわけではありません。
まずは不支給の理由を確認し、その理由に応じて、
- 審査請求
- 再請求
- 必要書類の確認
- 今後の症状の変化を踏まえた請求
などを検討しましょう。
不支給の理由や今後の対応について自分だけでは判断が難しい場合には、年金事務所や障害年金を扱う専門家に相談することも一つの方法です。


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