「病気やけがで以前のように働けない」「日常生活に支障があるけれど、障害年金を受給できるのかわからない」と悩んでいませんか?
障害年金は、病気やけがによって生活や仕事が制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて受給できる可能性がある公的年金制度です。
ただし、障害年金は「病名がついていれば受給できる」という制度ではありません。
初診日・保険料の納付状況・障害の状態など、いくつかの要件を満たす必要があります。
この記事では、障害年金について、
- 障害年金とはどのような制度なのか
- 受給するための条件
- 障害年金の1級・2級・3級
- 令和8年度の年金額
- 働いていても受給できるのか
- 障害者手帳との違い
- 申請方法
- 申請で重要な「初診日」
- 障害年金の申請で注意したいポイント
について、できるだけわかりやすく解説します。
障害年金とは?
障害年金とは、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、一定の要件を満たすことで受け取ることができる年金です。
障害年金には大きく分けて、
- 障害基礎年金
- 障害厚生年金
があります。
どちらの障害年金を請求できるかは、原則として障害の原因となった病気やけがの初診日に、どの年金制度に加入していたかによって決まります。
たとえば、初診日に国民年金に加入していた場合などは障害基礎年金、厚生年金に加入している期間に初診日がある場合は障害厚生年金を請求することになります。
そのため、障害年金を検討するときには、まず「初診日がいつなのか」を確認することが重要です。
障害年金を受給するための3つの重要な条件
障害年金を受給するためには、主に次の3つのポイントを確認する必要があります。
1.初診日の要件
初診日とは、障害の原因となった病気やけがについて、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日のことです。
初診日は障害年金の申請において非常に重要です。
なぜなら、初診日に加入していた年金制度によって、請求できる障害年金の種類が変わるだけでなく、保険料の納付要件などにも関係するためです。
また、最初に受診した病院から別の病院へ転院している場合でも、原則として最初に医師の診療を受けた日が初診日となります。
「今通院している病院を初診日だと思っていた」というケースもあるため、注意が必要です。
2.保険料の納付要件
障害年金では、初診日の時点だけではなく、初診日の前日における保険料の納付状況についても確認されます。
原則として、初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間について、保険料納付済期間と免除期間を合わせた期間が3分の2以上必要です。
また、一定の特例として、初診日に65歳未満であれば、初診日のある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がない場合に納付要件を満たすことができます。
なお、20歳前に初診日がある場合は、原則として保険料の納付要件はありません。
3.障害の状態が認定基準に該当していること
3つ目が、実際の障害の状態です。
障害年金では、病名だけで等級が決まるわけではありません。
同じ病名であっても、
- 日常生活でどの程度困っているのか
- 仕事にどの程度支障があるのか
- 身の回りのことをどこまで自分でできるのか
- 症状がどの程度継続しているのか
など、具体的な障害の状態を踏まえて判断されます。
障害年金には何級がある?
障害年金の等級は、1級・2級・3級があります。
ただし、障害基礎年金は1級・2級、障害厚生年金は1級・2級・3級が対象となります。
障害年金1級
1級は、障害の状態が非常に重く、日常生活を送るうえで常時の援助が必要となるような状態が目安となります。
障害年金2級
2級は、日常生活に著しい制限があり、労働によって収入を得ることが難しい程度の状態が目安となります。
障害年金3級
3級は障害厚生年金にのみ設けられている等級です。
日常生活にはある程度のことができても、労働について大きな制限があるなど、一定の障害状態に該当する場合が対象となります。
なお、障害年金の等級は身体障害者手帳などの障害者手帳の等級とは別の制度です。
障害年金はいくらもらえる?
障害年金の金額は、障害基礎年金と障害厚生年金で計算方法が異なります。
障害基礎年金の金額
令和8年度の障害基礎年金は、昭和31年4月2日以後生まれの方の場合、
| 等級 | 年額 |
|---|---|
| 1級 | 1,059,125円 |
| 2級 | 847,300円 |
となっています。さらに、一定の要件を満たす子がいる場合には、子の加算額が加わります。
月額に単純換算すると、1級は約8万8,000円、2級は約7万600円です。
障害厚生年金の金額
障害厚生年金は、厚生年金への加入期間や給与・賞与などをもとに計算されるため、人によって受給額が異なります。
また、1級・2級に該当した場合には、障害基礎年金があわせて支給される場合があります。
そのため、会社員や公務員として働いていた方は、障害基礎年金だけでなく障害厚生年金についても確認することが大切です。
働いていても障害年金は受給できる?
「障害年金は仕事をしていたらもらえない」と考えている方もいますが、働いていることだけを理由に障害年金を受給できなくなるわけではありません。
障害年金では、就労の有無だけでなく、仕事の内容や勤務状況、職場で受けている配慮、仕事を続けるうえでどのような困難があるのかなども含めて、障害の状態を総合的に考えることが重要です。
たとえば、
- 正社員として働いている
- パート・アルバイトで働いている
- 短時間勤務をしている
- 障害への配慮を受けながら働いている
といった場合でも、障害の状態によっては障害年金の対象となる可能性があります。
「働いているから無理」と最初から判断せず、障害の状態を確認することが大切です。
無職なら障害年金を受給できる?
反対に、無職だから自動的に障害年金を受給できるわけでもありません。
障害年金は「現在働いているか、働いていないか」だけで判断される制度ではなく、障害の状態が認定基準に該当しているかどうかなどを総合的に判断します。
そのため、
「今は仕事をしていないから障害年金をもらえる」
ということでも、
「働いているから障害年金はもらえない」
ということでもありません。
障害者手帳がなくても障害年金は受給できる?
「障害者手帳を持っていないと障害年金は申請できないのでは?」と考える方もいます。
しかし、障害者手帳と障害年金は別の制度です。
障害者手帳を持っていることだけで障害年金の受給が決まるわけではなく、反対に、障害者手帳を持っていないことだけを理由として障害年金を請求できないわけでもありません。
障害年金については、障害年金独自の認定基準によって障害の状態が判断されます。日本年金機構も、障害年金の障害等級は身体障害者手帳の等級とは異なることを明記しています。
障害年金の申請はどうやって行う?
障害年金の申請では、一般的に次のような流れで準備を進めます。
STEP1 初診日を確認する
まず、障害の原因となった病気やけがについて、最初に医療機関を受診した日を確認します。
STEP2 年金の加入状況・納付要件を確認する
初診日に加入していた年金制度や保険料の納付状況を確認します。
STEP3 障害認定日を確認する
原則として、初診日から1年6か月を経過した日が障害認定日となります。
ただし、傷病によってはそれより前に症状が固定した場合など、例外があります。
STEP4 診断書など必要書類を準備する
障害年金では、傷病や障害の状態に応じた診断書などの書類を準備します。
診断書は障害年金の審査において重要な資料となるため、現在の症状だけではなく、日常生活や仕事への影響などが適切に反映されているか確認することが重要です。
STEP5 申立書などを作成する
診断書だけでは伝わりにくい、発病から現在までの経過や日常生活上の困難などを「病歴・就労状況等申立書」などに記載します。
STEP6 年金事務所などへ請求する
必要な書類をそろえたうえで、年金事務所などに請求書類を提出します。
障害年金の申請で特に重要な「初診日」
障害年金の申請を考えるうえで、特に注意したいのが初診日です。
初診日によって、
- 障害基礎年金か障害厚生年金か
- 保険料納付要件
- 障害認定日
- 請求できる年金の種類
などに影響するためです。
しかし、何年も前の病気について申請する場合、
「最初に行った病院が閉院している」
「カルテが残っていない」
「病院を何度も転院している」
「本人の記憶しか初診日を確認する手がかりがない」
といったケースもあります。
このような場合でも、状況に応じて診察券、領収書、お薬手帳、紹介状など、さまざまな資料から初診日の確認を検討できる場合があります。
初診日がはっきりしないからといって、すぐに申請をあきらめる必要はありません。
障害認定日とは?
障害認定日とは、原則として初診日から1年6か月を経過した日です。
障害年金では、原則として障害認定日の時点における障害の状態を確認し、障害等級に該当するかどうかを判断します。
また、障害認定日の時点では等級に該当しなかったものの、その後症状が悪化して障害等級に該当するようになった場合には、「事後重症による請求」ができる場合があります。障害基礎年金の事後重症請求については、原則として65歳の誕生日の前々日までに請求書を提出する必要があります。
請求するタイミングによって受給開始時期などが変わるため、早めに制度を確認することが大切です。
障害年金の申請で注意したいポイント
病名だけで判断しない
障害年金では、単に「うつ病だから」「双極性障害だから」「発達障害だから」といった病名だけで等級が決まるわけではありません。
重要なのは、その病気によってどのような障害が生じ、日常生活や仕事にどの程度の制限があるのかという点です。
診断書の内容を確認する
診断書は障害年金の審査における重要な資料です。
実際の生活状況と診断書の内容に大きな違いがある場合には、申請前に確認しておくことが重要です。
病歴・就労状況等申立書も丁寧に作成する
病歴・就労状況等申立書では、発病から現在までの経過や就労状況などを記載します。
診断書だけでは十分に伝わりにくい生活上の困難について、具体的に整理することが大切です。
「働いているから無理」と決めつけない
障害年金は、働いているという事実だけで不支給になる制度ではありません。
勤務時間や仕事内容、職場での配慮、欠勤・遅刻・早退、周囲からのサポートなど、実際の就労状況を踏まえて考えることが重要です。
障害年金の申請は専門家に相談する方法もあります
障害年金は、単に診断書を取得して提出すれば終わるという手続きではありません。
特に、
- 初診日が複数の医療機関にまたがっている
- 初診日を証明する資料がない
- 転院を繰り返している
- 長期間受診していない時期がある
- 働きながら障害年金を申請したい
- 診断書の内容に不安がある
- 過去に不支給になったことがある
- どのような書類を準備すればよいかわからない
といった場合は、障害年金を専門とする社会保険労務士などに相談することも一つの方法です。
障害年金は、「自分が受給できるのか」を確認するところから始めることができます。
一人で悩み続けるのではなく、現在の状況を整理したうえで、専門家に相談してみるのもよいでしょう。
まとめ|障害年金は「病名」だけでなく生活への影響が重要
障害年金は、病気やけがによって生活や仕事に制限が生じた場合に、一定の要件を満たすことで受給できる可能性があります。
受給できるかどうかを確認する際には、
① 初診日
② 保険料の納付要件
③ 障害の状態
の3つを確認することが重要です。
また、障害基礎年金と障害厚生年金では、受給できる等級や年金額などが異なります。
「自分は障害年金を受給できるのだろうか?」
「働いているけれど申請できる?」
「初診日がわからない」
「必要な書類をどう準備すればいい?」
など、申請について不安や疑問がある場合は、障害年金に詳しい社会保険労務士事務所へ相談することも一つの方法です。各事務所の対応内容や実績などを確認し、ご自身に合った専門家へ相談してみましょう。
※本記事は障害年金制度の概要をわかりやすく解説したものです。実際の受給要件や認定については個々の状況によって異なります。年金額等は令和8年度の制度に基づいています。


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