「障害者手帳を持っていないけれど、障害年金はもらえる?」
「障害者手帳がないと障害年金を申請できない?」
障害年金を検討している方から、このような疑問をいただくことがあります。
結論からいうと、障害者手帳を持っていなくても、障害年金を受給できる可能性があります。
障害年金と障害者手帳は、どちらも障害のある方を支援する制度ですが、目的や認定基準、申請先などが異なる別の制度です。
そのため、「障害者手帳を持っていないから障害年金も受給できない」と考える必要はありません。
この記事では、障害者手帳と障害年金の違い、障害者手帳がなくても障害年金を受給するための条件、申請時に注意したいポイントについて、わかりやすく解説します。
この記事でわかること
- 障害者手帳がなくても障害年金を受給できるのか
- 障害年金と障害者手帳の違い
- 障害者手帳の等級と障害年金の等級は同じなのか
- 障害年金を受給するための条件
- 障害者手帳がない場合に注意したいポイント
- 障害年金の申請を検討するときに確認すること
障害者手帳がなくても障害年金はもらえる?
はい。障害者手帳を持っていなくても、障害年金を受給できる可能性があります。
障害年金は、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、一定の条件を満たすことで受け取ることができる年金です。
日本年金機構も、障害年金について、初診日に加入していた年金制度や障害の状態、保険料の納付状況などを受給要件として案内しています。障害者手帳を持っていること自体は、障害年金の受給要件として挙げられていません。
また、厚生労働省の資料でも、**「障害年金は障害者手帳がなくても受給できます」**と案内されています。
したがって、
「障害者手帳を持っていないから障害年金は申請できない」
というわけではありません。
障害者手帳を取得していない方でも、障害年金の受給要件を満たしていれば、申請を検討できます。
障害年金と障害者手帳は別の制度
障害者手帳と障害年金は、混同されやすい制度です。
しかし、実際にはそれぞれ目的や制度の仕組みが異なります。
障害者手帳とは?
「障害者手帳」は、一般的に、
- 身体障害者手帳
- 療育手帳
- 精神障害者保健福祉手帳
の3種類を指します。
厚生労働省によると、これらはそれぞれ異なる法律等を根拠としている制度で、障害のある方が福祉サービスや各種支援を利用するための手帳です。自治体や事業者による独自のサービスを受けられる場合もあります。
一方、障害年金は公的年金制度の一つで、病気やけがによって生活や仕事などに一定の制限が生じた場合に、年金を受給できる制度です。
つまり、
障害者手帳=福祉サービスなどの支援につながる制度
障害年金=生活や仕事などの制限に対して年金を支給する制度
と考えると分かりやすいでしょう。
障害者手帳の等級と障害年金の等級は違う
ここも非常に重要なポイントです。
例えば、精神障害者保健福祉手帳には1級・2級・3級があります。
一方、障害年金は、
障害基礎年金:1級・2級
障害厚生年金:1級・2級・3級
という仕組みです。
このため、
「精神障害者保健福祉手帳2級だから障害年金も2級」
「障害者手帳3級だから障害年金も3級」
というように、手帳の等級と障害年金の等級が自動的に決まるわけではありません。
厚生労働省も、障害年金の等級は障害者手帳の等級とは異なることを明記しています。
なぜ障害者手帳と障害年金の等級が違うの?
その理由の一つは、それぞれの制度で認定の目的や基準が異なるからです。
障害者手帳は、障害の種類や程度に応じて、福祉サービスや支援などにつなげるための制度です。
一方、障害年金では、日常生活や仕事などにどの程度の制限が生じているのかを踏まえて、障害認定基準に基づいて判断されます。
そのため、
- 障害者手帳は取得していない
- 障害者手帳は3級
- 障害者手帳は2級
といった事情だけで、障害年金を受給できるかどうかが決まるわけではありません。
障害年金を受給するための3つのポイント
障害者手帳の有無とは別に、障害年金を受給するためには一定の要件を満たす必要があります。
主に確認したいのが、
①初診日
②障害の状態
③保険料の納付要件
の3つです。
①初診日を確認する
「初診日」とは、障害の原因となった病気やけがについて、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日のことです。
障害年金では、この初診日が非常に重要です。
なぜなら、初診日に加入していた年金制度によって、請求できる障害年金の種類が変わるためです。
原則として、
- 初診日に国民年金に加入していた場合 → 障害基礎年金
- 初診日に厚生年金に加入していた場合 → 障害厚生年金
という違いがあります。
そのため、障害者手帳を持っているかどうかを確認する前に、まず「いつが初診日なのか」を整理することが重要です。
②障害の状態が認定基準に該当しているか
障害年金では、病名だけで等級が決まるわけではありません。
実際の障害の状態が、障害認定基準に定められた状態に該当するかどうかが重要です。
例えば精神疾患の場合、
- 日常生活でどのような支障があるか
- 食事や清潔保持ができているか
- 金銭管理ができているか
- 通院や服薬を適切に行えているか
- 他人とのコミュニケーションがどの程度できるか
- 就労状況や職場でどのような配慮を受けているか
- 社会生活を送るうえでどの程度の援助が必要なのか
など、さまざまな事情を踏まえて判断されます。
そのため、
「うつ病だから障害年金2級」
「発達障害だから障害年金3級」
というように、病名だけで受給できるかどうかを判断することはできません。
③保険料の納付要件を満たしているか
障害年金では、障害の状態だけでなく、初診日前の年金保険料の納付状況も確認されます。
原則として、初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの被保険者期間について、保険料納付済期間と免除期間を合わせた期間が3分の2以上あることなどが必要です。
また、一定の条件を満たす場合には、初診日の属する月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がないことによる特例もあります。
なお、20歳前に初診日がある障害基礎年金については、通常の保険料納付要件がありません。
このように、障害者手帳の有無とは別に、年金制度上の要件を確認する必要があります。
障害者手帳がない場合に注意したいこと
「障害者手帳がないから申請できない」と考える必要はありません。
ただし、障害年金の申請では、障害者手帳の有無よりも、障害年金の認定基準に沿って現在の障害状態を適切に伝えることが重要です。
特に注意したいのが診断書です。
障害年金の診断書には、傷病によって日常生活や仕事にどのような制限が生じているのかを判断するための情報が記載されます。
そのため、単に、
「病名がついている」
「症状がある」
というだけではなく、
実際の生活でどのような支障が生じているのか
を具体的に整理しておくことが大切です。
障害者手帳がなくても受給しやすい病気はある?
障害年金は、特定の病気だけを対象とした制度ではありません。
病気やけがによって障害が残り、障害年金の認定基準に該当すれば、さまざまな傷病が対象となる可能性があります。
例えば、
- うつ病
- 双極性障害
- 統合失調症
- 発達障害
- 知的障害
- 脳梗塞
- 脳出血
- 心疾患
- 腎疾患
- 視覚障害
- 聴覚障害
- 肢体の障害
- がん
- 難病
などがあります。
ただし、傷病名が同じでも障害の程度によって認定結果は異なります。
また、障害者手帳を取得していないことだけを理由に、障害年金の対象外になるわけではありません。
「障害者手帳がない=障害年金も無理」は間違い
ここまでの内容をまとめると、
障害者手帳と障害年金は別の制度です。
そのため、
「障害者手帳を持っていないから障害年金はもらえない」
という考え方は正しくありません。
障害者手帳を持っていない方でも、
- 初診日の要件
- 保険料納付要件
- 障害状態の要件
などを満たしていれば、障害年金を受給できる可能性があります。
特に、「障害者手帳は取得していないけれど、日常生活や仕事に大きな支障がある」という方は、一度障害年金の受給可能性を確認してみることをおすすめします。
障害者手帳がない方も障害年金を検討しましょう
障害年金を申請できるかどうかを考えるとき、重要なのは「障害者手帳を持っているか」だけではありません。
初診日はいつなのか
初診日にどの年金制度に加入していたのか
保険料の納付要件を満たしているのか
現在の障害状態が障害認定基準に該当するのか
といった点を確認する必要があります。
また、障害年金の等級は障害者手帳の等級とは異なります。
そのため、障害者手帳を取得していない方でも、
「自分の場合は障害年金を申請できるのか?」
「障害年金の何級に該当する可能性があるのか?」
と疑問に思った場合は、障害年金の制度を確認してみることが大切です。
障害年金の申請で迷ったら専門家への相談も選択肢
障害年金の申請では、障害者手帳の有無だけでなく、初診日や保険料の納付要件、診断書の内容、日常生活や就労状況など、さまざまな点を確認する必要があります。
特に、初診日が古いケースや転院を繰り返しているケース、精神疾患で日常生活の状況をどのように伝えればよいか分からないケースでは、申請準備に時間がかかることがあります。
「障害者手帳は持っていないけれど、障害年金を申請できるか知りたい」という方は、障害年金を専門とする社会保険労務士などに相談することも一つの方法です。
当事務所でも、障害年金に関するご相談をお受けしています。
障害者手帳がないことだけで諦めるのではなく、現在の障害状態やこれまでの経過をもとに、障害年金を受給できる可能性があるか確認することが大切です。


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