うつ病、アスベルガー症候群で障害年金が認定された事例

【うつ病、アスベルガー症候群で障害年金】の受給事例

うつ病とアスベルガー症候群の合併症により、長年にわたって症状に苦しまれていた30代の方が、障害厚生年金2級の受給決定を受けられた事例をご紹介します。初診から数年が経過し、転居や就労など複雑な経緯があった中での申請でしたが、しっかりとした準備により認定に至りました。


目次

ご相談者様の状況

  • 年代・性別:30代
  • 傷病名:うつ病、アスベルガー症候群
  • 就労状況:パートタイム勤務(診断書作成時は無職)
  • 年金種類:障害厚生年金
  • 認定等級:2級
  • 請求の種類:事後重症請求

ご相談までの経緯

ご相談者様が最初に体調の異変を感じられたのは、平成28年1月頃のことでした。同年2月、症状が急激に悪化し、緊急搬送される事態となりました。その後、広島県内の医療機関で自律神経失調症と診断され、通院を開始されました。

同年4月までの通院後、引っ越しに伴い神奈川県内の医療機関へ転院されました。しかし、同年5月には「完治」との診断を受け、通院が終了となりました。ご本人としては完治の実感がなく不安を抱えながらも、社会復帰を余儀なくされました。

その後、令和4年10月頃まで転職を繰り返しながらなんとか就労を続けていらっしゃいましたが、精神状態が急激に悪化し、出勤が不可能となりました。結果的に退職を余儀なくされ、令和4年11月頃からオンライン診療を受診されることになりました。

この時点で初めて、うつ病とアスペルガー症候群の合併症との診断を受けられました。脳検査も実施され、うつ病の方に見られやすい所見も認められました。障害年金の申請を考えられましたが、初診日から長い年月が経過していることや、複数の医療機関を転々としていたことから、ご自身での申請に不安を感じ、当事務所へご相談にいらっしゃいました。


申請で問題になったポイント

初診日の特定と証明の取得

このケースでは、初診日を適切に証明できるかどうかが大きなポイントとなりました。ご相談者様は緊急搬送後に別の医療機関で継続的な治療を受けており、受診経過の整理と資料収集を丁寧に進めました。

その結果、2番目の医療機関から情報提供書を取得することができ、初診日が平成28年2月25日であることを確認。初診日時点で厚生年金に加入しており、保険料納付要件も満たしていたことから、障害年金請求の土台を整えることができました。

認定日時点での通院歴がない問題

障害年金には、初診日から1年6か月経過した「障害認定日」の時点で等級に該当していれば、その時点から年金が支給される「障害認定日請求」という方法があります。しかし、この方は認定日に該当する時期には「完治」と診断され通院を終了しており、認定日時点の診断書が取得できない状態でした。

そのため、現在の症状で申請する「事後重症請求」を選択することとなりました。事後重症請求では、請求した月の翌月分からの年金支給となるため、認定日請求に比べると遡及して受給できる期間がないという違いがありますが、現在の状態で確実に認定を得ることを優先しました。

病歴・就労状況等申立書の作成

ご相談者様が特に当事務所へ依頼された理由は、「病歴・就労状況等申立書をしっかり書いてほしい」ということでした。初診から現在まで約6年以上の期間があり、その間に転居、転職、再発、退職と複雑な経緯を辿っていらっしゃいました。

特に、一度「完治」と診断されながらも実際には症状が持続していたこと、就労していても日常生活や業務に支障があったことなどを、正確かつ説得力を持って伝える必要がありました。


当事務所で行ったサポート

まず、初診日の特定と受診状況等証明書の取得について、必要な手続きを整理し、ご本人と一緒に確認を進めました。保険料納付要件についても、市役所で確認済みの情報を元に、問題がないことを再確認いたしました。

最も重点を置いたのは、病歴・就労状況等申立書の作成です。ご相談者様から丁寧にヒアリングを行い、発症当初の症状、緊急搬送に至った経緯、「完治」診断後も続いていた不調、就労中の困難、再発から現在に至るまでの状況を時系列で整理しました。特に、アスペルガー症候群とうつ病が合併していることで、対人関係や環境変化への対応がどれほど困難だったかを、具体的なエピソードを交えて記述しました。また、診断書作成時には無職でしたが、その後パートタイムでの就労を試みている状況についても、正確に反映されるよう配慮しました。


結果

申請の結果、障害厚生年金2級として認定されました。事後重症請求での認定となったため、請求月の翌月分からの年金受給が決定しました。

うつ病とアスペルガー症候群という複数の診断があり、また長期間にわたる病歴の中で医療機関の変更や一時的な通院中断があったケースでしたが、現在の症状の深刻さと、これまでの経過を丁寧に説明できたことが認定につながったと考えられます。


同じ傷病で障害年金を検討している方へ

うつ病とアスペルガー症候群(自閉スペクトラム症)は、それぞれ単独でも日常生活や就労に大きな影響を及ぼす疾患ですが、合併することでさらに複雑な症状や困難が生じることがあります。対人関係の困難さ、環境変化への適応の難しさ、抑うつ症状などが重なり合い、社会生活を送ることが著しく制限される場合があります。

「一度完治と言われた」「仕事をしている期間があった」「通院していない時期がある」といった理由で、障害年金の受給を諦めてしまう方もいらっしゃいますが、現在の状態が日常生活や就労に支障をきたしているのであれば、申請できる可能性はあります。

実際、このご相談者様のように、複雑な経緯があっても、きちんと状況を整理し、適切に申請を行うことで認定されるケースは多くあります。まずは専門家に相談し、ご自身の状況を客観的に見直してみることをお勧めします。


障害年金の申請で大切なこと

初診日の確認と証明

障害年金において初診日は最も重要な要素の一つです。初診日によって、どの年金制度に加入していたか(国民年金か厚生年金か)が決まり、それによって受給できる年金の種類や金額が変わります。また、保険料納付要件も初診日の前日時点で判断されます。

複数の医療機関を受診している場合、どこが初診となるのか判断が難しいこともあります。緊急搬送された病院、紹介を受けた病院など、時系列を整理し、受診状況等証明書などの客観的な証明を取得することが重要です。

病歴・就労状況等申立書の重要性

診断書は医師が作成するものですが、病歴・就労状況等申立書はご本人(または代理人)が作成するもので、発症から現在に至るまでの経過を伝える重要な書類です。

特に精神疾患の場合、症状の変動や日常生活での困難さは、診断書だけでは伝わりきらないことがあります。いつ、どのような症状があり、どのように生活に支障が出ていたのかを、時系列で具体的に記載することで、審査する側に正確な状況を理解してもらうことができます。

専門家への早めの相談

障害年金の申請には、初診日の証明、診断書の取得、病歴・就労状況等申立書の作成、年金事務所への提出など、多くの手続きが必要です。特に精神疾患の場合、ご本人が体調不良の中でこれらの手続きを進めることは大きな負担となります。

社会保険労務士などの専門家に依頼することで、必要な書類の整理、申立書の作成サポート、医師への説明などを代行してもらうことができます。早めに相談することで、スムーズな申請につながります。


よくある質問(Q&A)

Q. うつ病とアスペルガー症候群の両方がある場合、障害年金は受給しやすくなりますか?
A. 複数の診断があることそのものが有利・不利になるわけではありませんが、それぞれの症状が重なり合うことで日常生活や就労に大きな支障が出ている場合、その実態が適切に診断書や申立書に反映されれば、認定につながる可能性があります。重要なのは、現在の状態がどの程度日常生活に影響しているかです。

Q. 一度「完治」と診断されても障害年金は申請できますか?
A. はい、申請できます。一時的に症状が軽減して通院を終了していても、その後再発したり、実際には症状が継続していた場合は、現在の状態で申請することが可能です。この場合、事後重症請求という方法で、現在の診断書を基に申請します。

Q. パートやアルバイトで働いている場合、障害年金は受給できませんか?
A. 就労していることだけで受給できないということはありません。障害年金の審査では、就労の有無だけでなく、仕事の内容、勤務時間、職場での配慮の有無、仕事以外の日常生活の状況などが総合的に判断されます。短時間勤務で配慮を受けながら働いている場合でも、認定される可能性はあります。

Q. 初診から何年も経っていますが、今から申請しても間に合いますか?
A. 障害年金には、初診日から1年6か月経過した「障害認定日」時点での請求(認定日請求)と、現在の症状で請求する「事後重症請求」があります。初診から長期間経過している場合でも、事後重症請求であれば申請可能です。ただし、事後重症請求は65歳の誕生日の前々日までに行う必要があります。

Q. 診断書の内容が実際の状態より軽く書かれている気がします。どうすればいいですか?
A. まずは主治医に、日常生活での具体的な困難さを詳しく伝えることが大切です。診察時には調子が良く見えても、普段の生活では様々な支障があることを、具体例を挙げて説明しましょう。それでも診断書の内容に疑問がある場合は、専門家に相談し、必要に応じて医師への説明を代行してもらうことも検討できます。


無料相談のご案内

障害年金の申請は、要件の確認から書類準備まで複雑な手続きが伴います。当事務所では、うつ病、アスベルガー症候群をはじめとするさまざまな傷病での障害年金申請をサポートしております。「自分は受給できるのか」「どこから手をつければいいかわからない」という方も、まずはお気軽に無料相談をご利用ください。


ご注意事項

本事例は個別の状況に基づくものであり、同様の結果を保証するものではありません。障害年金の支給要件・等級・受給額は、お一人おひとりの状況によって異なります。本記事は情報提供を目的としており、法的・医学的アドバイスを提供するものではありません。障害年金の申請をご検討の際は、必ず専門家にご相談ください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

日本障害年金申請サポートセンター
(社会保険労務士法人 日本労働教育総合研究所)

神奈川県の社労士法人で、年間400件以上の障害年金請求に携わっている。
身体障害・精神障害共にサポート可能。

コメント

コメントする

目次